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大阪・関西万博の開幕を飾るはずだった世界最大級の木造建築「大屋根リング」に、予想外の事態が発生しました。
開幕初日の雨の中、来場者を見守るはずのシンボル建築から雨水が滴り落ちる光景が広がったのです。
総工費約196億円、周長約2kmに及ぶ圧巻の木造建築の雨漏りは、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」の実現に向けた最初の試練となりました。技術と自然の共生を示す象徴的建築物が直面した予期せぬ事態から、私たちは何を学び、どう向き合っていけばよいのでしょうか。朝日新聞
目次
雨の開幕日に起きた予想外の事態
2025年4月13日、大阪・関西万博が開幕しました。
あいにくの雨天の中、多くの来場者が詰めかけたものの、会場のシンボルである「大屋根リング」の東側エリアで雨漏りが発生。
上部から雨水が滴り落ち、下を歩く来場者にスタッフが「雨漏りしております。お気をつけてお通りください」と注意を呼びかける事態となりました。
風雨が強まると大屋根リングの下に避難する人々で混雑し、リングの下にも風と雨が吹き込む状況に。
来場者は「大屋根の高さがあるから雨が吹き込んでくる」と口々に言いながら、寒さにこごえていたといいます。
日本国際博覧会協会(万博協会)は原因を調査し、施工業者に対応を依頼するとしています。読売新聞
世界最大級の木造建築が持つ革新的構造と特徴
「大屋根リング」は、109個の木架構ユニットを円形につないだ幅約30m、高さ約20m、内径約615m、周長約2kmという世界最大級の木造建築。
2025年3月にはギネス世界記録に認定されました。
最大の特徴は、日本の伝統構法「貫接合(ぬきせつごう)」を現代の工法と組み合わせた点にあります。
柱をくり抜いた開口部に梁を差し込む貫接合により組み立てられており、現行の耐震基準をクリアするための構造体の施工方法は各工区によって異なり、それぞれ独自の技術で建設が進められました。
柱材には四国産のヒノキ、梁材には福島産のスギなど、国産材を積極的に活用。床材には四国産のヒノキとスギを加工したCLT(直交集成板)が採用されています。
伝統と革新が融合した大屋根リングは、日本の木造建築技術の粋を集めた象徴的存在なのです。大林組
雨漏りの原因と補修への取り組み
雨漏りが確認されたのはリング東側のエリア。
万博協会幹部は記者団に「施工業者に原因調査や補修を依頼する」と説明し、大きな補修費用はかからないとの見解を示しています。
専門家によれば、世界最大級の木造建築物の場合、木材の収縮や膨張による隙間の発生、あるいは接合部の防水処理の不完全さなどが雨漏りの原因として考えられます。
特に貫接合という伝統工法と現代建築を融合させた複雑な構造では、様々な要因が絡み合う可能性があります。
万博テーマと大屋根リングの未来
大屋根リングは単なる建築物ではなく、持続可能な社会の実現に向けた象徴でもあります。
設計を担当した建築家の藤本壮介氏は「このリングは、人がこの会場をめぐるメインのルートだが、それゆえにしっかり屋根をかけて、人々を雨や日差しから守る。
日陰の空間を作る。これがベースの考え方」と語っています。産経新聞
今回の雨漏り事故は、技術的な問題である一方、自然と向き合う建築の在り方についても私たちに問いかけています。
木という自然素材を活かしながら、どうやって安全で快適な空間を作り出すか。この挑戦は万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」そのものとも言えるでしょう。
まとめ
大阪・関西万博のシンボルとして誕生した「大屋根リング」。
開幕日の雨漏りというハプニングは、革新的な建築物が直面する現実的な課題を浮き彫りにしました。
しかし、この出来事は決して失敗ではなく、持続可能な未来へ向けた試行錯誤の一部と捉えるべきでしょう。
伝統工法と最新技術を融合させ、国産材を活用した壮大なプロジェクトは、日本の技術力と創造性の証です。
雨漏りという問題に対して迅速に対応し、改善していく姿勢こそが、真の「いのち輝く未来社会」の実現への道筋を示しています。
大屋根リングの雨漏り問題は、万博終了後も残るレガシーとして私たちに多くの教訓を残すでしょう。
自然と共生する建築の難しさと可能性、そして絶え間ない改良の必要性を教えてくれる貴重なケースとして、建築史に刻まれることになるのかもしれません。
最後までおつきあいくださり、ありがとうございます☆彡